内科・循環器内科・心臓リハビリテーション科

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睡眠時無呼吸症候群

Sleep apnea syndrome 睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が一時的に止まることによって引き起こされる睡眠障害の一種で、昼間の眠気だけでなく、循環器疾患を有する患者さんにとくに多い疾患で,高血圧や不整脈など循環器疾患の発症や悪化に関与します。
本邦における無呼吸低呼吸指数(AHI;apnea hypopnea index)が15以上(中等度以上)の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者数(有病率)は約940万人(14.0%)とされています。各心血管疾患における睡眠呼吸障害の合併頻度は治療抵抗性高血圧では83%、糖尿病では86%、心房細動では81%、心不全では76%と高率です。

各心血管疾患における睡眠呼吸障害(AHI≧5)合併頻度

・HFrEF:左室収縮の低下した心不全
・HFpEF:左室収縮が保持された心不全
※治療抵抗性高血圧はAHI≧10、急性冠症候群はAHI≧15のデータ
(循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン)

健常人に対する睡眠時無呼吸症候群患者の疾患発生率は高血圧は2.89倍、糖尿病は1.46倍、脳血管障害は1.97倍、心不全は2.4倍、心房細動は4倍高く、無治療のまま放置すると予後が不良であると報告されています。
持続的気道陽圧治療(CPAP:continuous positive airway pressure)など睡眠時無呼吸症候群の治療によって,症状の改善のみならず循環器疾患予防、心血管イベント発生抑制、交通事故リスクの軽減につながる可能性があります。日中の眠気などの自覚症状がはっきりしない場合が多いため,いびきや無呼吸の指摘を受けたことがある方や,循環器疾患の患者さんでは,自覚症状がない場合でも検査を受けることをお勧めします。

睡眠時無呼吸症候群の原因は

睡眠時無呼吸症候群の原因として「閉塞性」と「中枢性」無呼吸があります。閉塞性無呼吸は肥満や顎が小さい、扁桃腫大などの解剖学的理由で睡眠中に喉が塞がってしまい、呼吸ができなくなり、大きないびきが生じます。中枢性無呼吸は脳血管疾患や重症心不全の方に見られ、気道の閉塞は伴わず過換気と無呼吸を繰り返すチェーンストークス呼吸が見られます。

脂質異常症の症状

睡眠時無呼吸症候群による自覚症状・他覚徴候として以下の様な症状があります。

  • 日中の眠気
  • 熟眠感がない
  • 睡眠中のいびき
  • 起床時の頭痛
  • 集中力の低下
  • 寝汗
  • 睡眠時の体動異常
  • 夜間頻尿

エプワース眠気尺度

日中の眠気を評価するテストとして「エプワース眠気尺度」があります。
24点満点で評価されますが、11点以上で日中の眠気があると判断します。

うとうとする
可能性は
ほとんどない
(0点)
うとうとする
可能性は

少しある
(1点)
うとうとする
可能性は

半々くらい
(2点)
うとうとする
可能性が

高い
(3点)
1すわって読書をしているとき
2テレビを見ているとき
3人の大勢いる場所(例えば、会議室や劇場など)で座っているとき
4他の人が運転する車に、休憩なして1時間以上乗っているとき
5午後に横になって、休憩をとっているとき
6すわって人と話をしているとき
7飲酒をせずに昼食後、静かにすわっているとき
8自分で車を運転中に、渋滞や信号で数分間、止まっている時

合計

  • 5点未満=日中の眠気は少ない
  • 5~10点=日中に軽度の眠気あり
  • 11点以上=日中の強い眠気あり

睡眠時無呼吸症候群診断の流れ

01:診察

眠気などの症状や既往症をおたずねします。夜間のいびきなどの症状はご自身で気がつきにくいためご家族に睡眠時の状況を確認しておくとスムーズです。

02:簡易検査

ご自宅で就寝前に血液中の酸素濃度を測定するパルスオキシメーターに加えて、気流を測定して無呼吸を評価するためのセンサーを装着していただき、睡眠時の無呼吸を評価します。
この検査で無呼吸低呼吸指数(AHI)が1時間に40回以上で眠気など睡眠時無呼吸症候群の症状が明らかな場合にはCPAP治療の適応となります。

03:ポリソムノグラフィー

AHIが40未満の場合には、診断のためにポリソムノグラフィーを行ないます。この検査では脳波や心電図、筋電図、呼吸運動、動脈血酸素飽和度などを測定し、睡眠の深さや体位と無呼吸の関係などを評価する精密検査になります。通常は1泊入院が必要です。この検査でAHIが1時間に20回以上の場合にCPAP治療の適応になります。

睡眠時無呼吸症候群の治療

生活習慣の改善

運動や適正体重を維持することで肥満を解消し、気道の周りの脂肪も少なくなります。飲酒も呼吸中枢に影響をあたえて、喉の筋肉が弛緩するため就寝前の飲酒を禁止することが推奨されます。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は筋弛緩作用があり気道閉塞を悪化させるので使用を避け、使用する睡眠薬も筋弛緩作用が弱いものを選択することを推奨します。仰向けに寝ると舌根沈下を招き、気道が閉塞しやすくなります。そのため横向きに眠るようにアドバイスしたり、枕を変えるなどの指導を行ないます。

CPAP療法

睡眠中にマスクを装着し、専用の装置で気道に圧力をかけた空気を送り込むことによって気道の閉塞を防ぐことにより閉塞性無呼吸を治療する医療機器です。これにより無呼吸が減少することによって睡眠中に無意識のうちに低酸素状態に陥ることを回避し、呼吸が安定するため心臓への負担が減ることが期待されます。

CPAP導入の流れ

睡眠時無呼吸症候群におけるCPAPの導入は以下の流れになります。

  • STEP01
    検査
  • STEP02
    診断
  • STEP03
    CPAPの
    導入決定
  • STEP04
    患者様
    説明
  • STEP05
    マスクの
    選択
  • STEP06
    CPAP至適圧の選定
  • STEP07
    在宅療養と定期外来受診データ管理

外科的治療

扁桃腫大が原因で空気の通り道が塞がっている場合には、扁桃除去術により改善するケースもあります。

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