内科・循環器内科・心臓リハビリテーション科

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不整脈

Arrhythmia 不整脈

不整脈とは

不整脈について

正常な脈は1分間に50~80回ほどで、規則的に心臓が興奮している状態ですが、不整脈の場合には心臓が収縮するタイミングがバラバラだったり、脈が非常に速く、もしくは遅くなってしまうことで、動悸やふらつきを自覚します。

(出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス 一部改変)

心臓の収縮について

心臓は規則的に電気信号が伝わることで規則的に収縮をしています。洞結節という発電所から発生した電気信号は心房を収縮させ、房室結節という関所で電気信号を心室に伝えて良いか確認するポイントを通過し、ヒス束(送電線)→右脚・左脚(右心室および左心室内の配線)→プルキンエ線維(心筋内の細かい配線)と伝わり、心室が収縮します。

頻脈性不整脈について

洞結節から発生した正しい電気信号とは異なる電気信号が不規則だったり、正常な脈拍数よりも早く発生してしまう場合には、脈が速くなってしまう不整脈(頻脈性不整脈)になり、以下の様な疾患があります。

  • 心房細動
  • 心房粗動
  • 発作性上室性頻拍症
  • 心室頻拍・心室細動

徐脈性不整脈について

発電所(洞結節)が壊れたり、関所(房室結節)で電気信号を伝えることが出来なくなったり、電線が切れた場合には脈が遅くなってしまう不整脈(徐脈性不整脈)になり、以下の様な疾患があります。

  • 完全房室ブロック
  • 洞不全症候群

その他の不整脈について

その他不整脈を起こす疾患としては、下記の様な疾患があります。

  • WPW症候
  • ブルガダ症候群
  • QT延長症候群

また「期外収縮」という不整脈は最も頻度の高い不整脈では、予定された心臓の興奮のタイミングよりも早い段階で、正常な電気的興奮とは別の所から電気刺激が発生し心臓が収縮します。その電気刺激が心房由来であれば“上室性期外収縮”といい、心室由来であれば“心室性期外収縮”と言います。

(出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス 一部改変)

不整脈の原因は

不整脈の原因は多岐にわたります。心筋梗塞や心筋症、弁膜症などによる心筋障害に続発して生じることもあれば、内分泌異常、遺伝子異常、薬剤性、特発的なケースもあります。他にも加齢や高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、喫煙は不整脈のリスク因子となります。

不整脈の症状

期外収縮の場合には「脈が飛ぶ感じ」、「胸が詰まる感じ」と表現されることが多いです。頻脈性不整脈の症状としては持続する動悸、胸の違和感や痛み、心不全を併発すれば息切れや倦怠感を自覚します。心室頻拍などリスクの高い不整脈の場合には失神することがありますが、時には無症状のこともあります。
徐脈性不整脈の場合には心臓から必要な血液が駆出できず、ふらつきや息切れ、めまい、失神することがあります。

不整脈の検査

心電図

不整脈の診断は不整脈が起こっているときに心電図を記録することです。発作が起こっているときに心電図が取れればよいのですが、不整脈が発作的に起こるような場合にはホルター心電図という24時間心電図を装着して不整脈を評価する方法や運動しながら心電図を記録することで発作中の心電図を記録します。

電気生理学的検査

その他専門医療機関では電気生理学的検査という方法で、電極カテーテルを持ちいて心臓を電気的に刺激しながら不整脈を誘発したり、心臓の電気の流れに異常が無いか調べることで不整脈の診断を行います。

不整脈の治療

頻脈性不整脈の中で最も患者数が多い心房細動の治療について概説します。心房細動の場合には以下の3点の問題が生じます。

  • 脈がバラバラになってしまい動悸や胸部の不快感など症状がある
  • 心房と心室が協調して収縮できなくなるため心臓の拍出量が低下する
  • 心房の中に血栓ができてしまい、それが心臓から飛んで言ってしまうため脳梗塞と言った動脈が急に詰まってしまうこと(塞栓症)がある。

1)については自覚症状がない患者様もいらっしゃいますが、動悸症状の出現から生活の質(QOL)の低下がある場合にはβ遮断薬など心拍数を適正化するような薬剤を使用することがあります。このような治療戦略を“レートコントロール”と呼びます。しかし心房細動が起こること自体がQOLを低下させたり心不全の誘因となる場合には洞調律という正常な脈を維持する戦略(リズムコントロール)を選択します。リズムコントロールには①抗不整脈薬の内服、②カテーテルアブレーションというカテーテルを用いた根治的な手術があります。

(出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス)

心房細動に対してどのような治療戦略をとるか

心房細動に対してどのような治療戦略をとるかは患者様の年齢や背景疾患、治療希望などを総合的に考慮して検討します。
塞栓症のリスクが高いと判断される場合には「抗凝固療法」という血栓が心臓に出来にくくするような薬剤を使用します。この場合には出血性の合併症に注意が必要です。
心房細動に関する説明動画は以下のリンクを参照ください。

<メドトロニック社 不整脈のひとつ、心房細動とは?その原因とメカニズム、治療法について>

致死的な不整脈を経験した場合、もしくは致死的不整脈発症のリスクが高いと判断される場合

心室頻拍や心室細動といった致死的な不整脈を経験した場合、もしくは致死的不整脈発症のリスクが高いと判断される場合には植込み型除細動器(ICD: Implantable Cardioverter Defibrillator)を体内に植込みます。もし生命の危険を来すような致死的な不整脈が起こった場合には機械が感知して電気ショック等で致死的な不整脈を停止させることにより、突然死を回避します。

<メドトロニック社 患者様向けICD資料>

徐脈性不整脈に対する治療

徐脈性不整脈に対する治療はペースメーカーの植込みを行います。これにより脈が遅い(徐脈)ことによって生じるめまいやふらつきなどの症状の改善が得られます。ペースメーカーを植え込んだあとは定期的なチェックが必要です。電池の寿命は条件にもよりますが、6~10年程度です。電池がなくなる前に本体交換が必要になります。
当院ではメドトロニック社のデバイスには随時チェックが可能な体制をとっています。

<メドトロニック社 患者様向けペースメーカー資料>

当院における不整脈診療の特徴

不整脈の背景にある基礎心疾患や増悪因子を把握することは、不整脈の再発や後に起こるかもしれない心不全を回避するためにも重要です。不整脈専門医療機関と連携しながら正確な診断とプラスαの治療をできるような診療を心がけていきます。

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