内科・循環器内科・心臓リハビリテーション科

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狭心症・心筋梗塞

Angina pectoris and Myocardial infarction 狭心症・心筋梗塞

狭心症・心筋梗塞とは

心臓について

心臓はうまれてからずっと休むことなく全身に血液を運ぶためのポンプとして動きつづけています。1日に約10万回も収縮と拡張を繰り返すためには、血液が運んでくれる栄養と酸素が必要になります。
心臓には血液を運ぶ「冠動脈」という血管が心臓の表面を走行しており、冠動脈は「右冠動脈」「左前下行枝」「左冠動脈回旋枝」の3本の主要な枝があります。

(出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス)

心筋虚血について

冠動脈が狭窄したり閉塞することで、心臓の筋肉(心筋)が必要とする酸素や栄養(=需要)に対して「供給」が追いつかない場合に「心筋虚血」という状態に陥ります。

狭心症・心筋梗塞

狭心症では冠動脈が狭窄した結果、心筋に十分な血液が届かず心筋虚血に至りますが、心筋壊死(心筋細胞が壊れる)は伴わずしばらく安静にすると症状が改善します。しかし、心筋梗塞の場合には冠動脈の血管が閉塞した結果、心筋が壊死してしまい、症状が治まらなかったり、今まで以上に強い胸の痛みを感じたりすることがあり、危険な状態です。

狭心症・心筋梗塞の原因は

冠動脈の動脈硬化が進展し、徐々に血管の内腔が狭くなってしまうことで血流低下を来たし、狭心症を発症します。動脈硬化の原因として糖尿病・高血圧・脂質代謝異常症といった生活習慣病や喫煙・肥満・心筋梗塞などの家族歴があり、これらリスクが重複すると狭心症・心筋梗塞の危険性が高まります。心筋梗塞は徐々に冠動脈狭窄が進行して、結果的に閉塞すると思われがちですが、冠動脈粥腫(プラーク)という血管壁の中にコレステロールの塊が蓄積し、突然プラークが破綻した結果、冠動脈内に血栓が形成され血管を閉塞させることで発症します。
一方で上記の様な動脈硬化以外の原因で狭心症を来す病態があります。それは「冠攣縮性狭心症」という病態で、普段は冠動脈の狭窄はないものの、冠動脈の痙攣(攣縮)によって一時的に冠動脈の狭窄、血流低下を来たすことで心筋虚血を起こすことがあります。発作は夜間・明け方の安静時に多いことが知られており、非発作時では冠動脈の狭窄が確認出来ません。喫煙や飲酒、アルコールを飲むとすぐに赤くなる、といったことがリスクになります。

(出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス)

狭心症・心筋梗塞の症状

一般的な症状は「胸痛」ですが、その症状が起こった状況や性質、随伴症状、性状をきちんと問診し、狭心症の可能性を探っていきます。

狭心症の場合に起こりやすい症状

  • 胸の圧迫感、紋扼感(締め付けられる、圧迫される)
  • 胸の症状に加えて腕・肩・背中・喉元・あごの痛みがある(放散痛)
  • 階段や歩行等の労作で出現・増悪することがあるが安静にすると改善する

さらに重症の場合

  • 以前より軽い労作でも胸の圧迫感を自覚したり、安静にしてても症状がある
  • 胸の圧迫感に加えて嘔気や冷汗、息苦しさを伴う
  • 発作の頻度が多くなったり、持続する時間が長くなる
  • 以前はニトロペンを使うと症状がよくなっていたが、使っても胸の症状が取れない

糖尿病の症例では神経障害のため狭心症の症状が出にくく、重症な場合でも無症状のこともあります。

狭心症・心筋梗塞の検査

心電図

心電図で心筋虚血や心筋梗塞のサイン(ST変化)が出ていないか確認します。
発作が起こっていない場合には異常所見が確認できないため、運動をしていただき心臓に負荷をかけた状態で心電図を記録したり、夜間・早朝など気がつかないうちに冠攣縮が起きて心筋虚血の徴候が見られていないか、ホルター心電図(24時間心電図)を行います。

採血検査

動脈硬化のリスクとなる糖尿病や脂質代謝異常の評価に加えて、心筋壊死に至った場合に上昇する心筋障害マーカー(トロポニン、CK-MB)を評価します。
これらのマーカーが上昇している場合には急性心筋梗塞を念頭に早急な対応が必要です。

心エコー検査

心筋虚血により心臓の動きが低下していないかを評価します。
特に心筋梗塞に至った場合には、心筋梗塞に至って心筋壊死している部分の心臓の動きが低下します。

運動負荷心電図検査でST低下を認めた狭心症の症例

さらに詳しい検査が必要な場合(専門施設での検査)

冠動脈CT検査

この検査では非侵襲的に冠動脈の狭窄を造影CTで評価する検査です。入院は不要で外来で検査可能です。

冠動脈CTで冠動脈の高度狭窄を認めた例

心筋シンチグラフィ検査

冠動脈に狭窄があった場合に、心筋虚血(=心臓に負担がかかったときにそれに見合った十分な血液を送ることが出来ない)を来すほど冠動脈狭窄が高度なのかを評価するための検査が心筋シンチグラフィ検査です。この検査は心臓に負荷をかけた場合と安静にした場合の2回画像撮影を行います。負荷をかけたときに心筋血流が不足し、安静時に改善する所見から心筋虚血を証明します。冠動脈CT検査の画像と融合することで、どの血管が心筋虚血に関与しているかを明らかにすることが出来ます。

心筋シンチグラフィ検査で心筋虚血を認め、冠動脈CT画像と融合した例

冠動脈造影検査

直接カテーテルという細い管を使って冠動脈の入り口から造影剤を冠動脈に注入することで、冠動脈の狭窄の有無を評価します。冠攣縮性狭心症の診断のためにアセチルコリンという薬剤を使って、発作を誘発する負荷試験を行うことがあります。

(出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス)

狭心症・心筋梗塞の治療

薬物治療

狭心症の発作を予防するためには需要と供給のバランスを保つことが必要です。需要を抑えるために「β遮断薬」という心拍数を抑える薬剤を使用し、心臓に負荷がかかりすぎないようにします。供給を増やすために「硝酸薬」「カルシウム拮抗薬」という血管を拡張させる薬剤が使用されます。そのほか血管が血栓で閉塞することを予防するために抗血小板療法を行います。また動脈硬化進展予防のために糖尿病や高血圧、脂質代謝異常の治療強化を行います。特に脂質代謝異常の治療を強化することで、冠動脈のプラークが退縮する効果も示されています。

非薬物治療

冠動脈の狭窄が高度であり心筋虚血を来している場合にはカテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)や冠動脈バイパス手術を実施します。治療法は冠動脈病変の複雑性や同時に手術で治すべき心臓病の有無、患者様の手術リスクや希望を元に、心臓血管外科や循環器内科、コメディカルスタッフで構成されるハートチームで検討され、最適な治療を提供します。
急性心筋梗塞の場合にはすぐに閉塞している冠動脈を再開通させる必要があり、緊急でカテーテル治療が行われます。
カテーテル治療の詳細はリンクから動画を参照ください。

冠動脈狭窄からステント留置まで 冠動脈インターベンション(PCI)の流れ 提供:メドトロニック社

(出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス)

心臓リハビリテーション

急性期病院では狭心症や急性心筋梗塞の治療後や冠動脈バイパス術後に心臓リハビリテーションを実施し、機能回復に加えて生活指導、患者教育をおこないます。退院後も心臓リハビリテーションを継続することで、病気の再発予防および快適な生活の維持に努めます。

当院における狭心症・心筋梗塞診療の特徴

「胸が痛い」という症状を診る場合、患者様の病歴をきちんと把握し、胸痛の性質や頻度、発作が起こる状況などから狭心症・心筋梗塞を疑い、的確な検査を実施し、その結果を正しく評価出来るよう心がけていきます。また急性心筋梗塞は早急な対応が必要であり、緊急カテーテル検査実施可能な急性期病院と密に連携をとっています。

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