内科・循環器内科・心臓リハビリテーション科

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心房細動と睡眠時無呼吸症候群

  • 2024.12.22  | 

睡眠時無呼吸症候群の症状として一般的には「いびき」「昼間の眠気や集中力低下」がよく知られていますが、心臓病も密接な関係があります。米国心臓協会が提唱する「循環器疾患を予防するための重要因子:Life Essential 8」として2022年改訂版から「睡眠」が追加されています。

 

近年脈がバラバラになり動悸や息切れ、脳梗塞などの塞栓症のリスクになる「心房細動」という不整脈との関連が注目されており、「不整脈非薬物療法治療ガイドライン(2018年改訂版)」に心房細動発生リスク因子として睡眠時無呼吸症候群を挙げています。また心房細動に睡眠時無呼吸症候群を合併する割合は81%と報告されており、合併した場合にはカテーテルアブレーションによる心房細動治療後の再発率が高くなる(再発率:23%→37.8%)ことがわかっています1)

このような背景から「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン(2023年改訂版)」では心房細動患者に睡眠呼吸障害の問診をおこなうことやスクリーニング検査を実施することが有用だとする確立したエビデンスがあり(エビデンスレベル:A)、評価することを強く進めています(推奨クラス:I)。

 

当院では睡眠時無呼吸症候群の簡易検査としてご自宅で就寝前に血液中の酸素濃度を測定するパルスオキシメーターに加えて、気流を測定して無呼吸を評価するためのセンサーを装着していただき、睡眠時の無呼吸を評価します。この検査で無呼吸低呼吸指数(AHI)が1時間に40回以上で眠気など睡眠時無呼吸症候群の症状が明らかな場合にはCPAP治療の適応となります。

心房細動に対するカテーテルアブレーション後の再発率は睡眠時無呼吸症候群を合併したとしても適切な治療よって睡眠時無呼吸症候群がない患者と同等まで再発率を減らすことができることがわかっています1)。カテーテルアブレーション後の心房細動再発予防のためには継続的に血圧や体重管理に加えて睡眠時無呼吸症候群に対する評価および治療をお勧めします。

心房細動の患者様で睡眠時無呼吸症候群が気になる方はお気軽にスタッフまでご相談ください。

1) Li Li et al. Europace (2014) 16, 1309–1314

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